日本の屋根工事業の市場規模:

日本の屋根工事に於ける市場規模はどれほどのものなのか?ここに屋根工事業の完成工事高についての資料
があるので、その売上高、利益率などを考察してみたい。図表1は、屋根工事業及び金属製屋根工事業の完
成工事高と総合建設会社の下請けとして建物の専門工事を請ける16種の職別工事業全体の売上高と比較して
みたグラフです。16種類の専門工事業は、下に示しました。つまり屋根工事、金属屋根工事と16種の専門工
事業全体とを比較して屋根工事業という専門工事業がどのくらいの売上を持っているかの比較になります。


日本の屋根工事の売上高

屋根工事の年間売上高: おおよそ5,000億円規模:

単純に屋根工事全体、瓦、スレートなどの金属ではない材料での工事とトタン、ガルバリウム鋼板、ジンカ
リウム鋼板などの金属屋根の工事と16種の専門工事業との売上比較では、屋根工事全体では、2006、2009
年に売上が増加していますが、ほぼ5000億規模で、16種の専門工事業の10兆に対して、5%となっている。

この数字は16種の専門工事の統計でありますので、各種の工事代金の違いはありますが、単純に10兆を16
で割って、約6,250億円規模となって、そんなに離れた金額ではないことが理解できると思います。個別の
年代では、16種の専門工事売上と必ずしも増減の傾向と一致しませんが、特に2009年は、前年の2008年10
月に100ぶりと言われたリーマン危機という金融ショックがあり、16種の専門工事の売上は12.7兆円から
10.2兆円に20%も減少しているにも関わらず、屋根工事では、逆に4,532億円から6,857億円に実に51%も
の増加を見ています。統計上のミスとも思える減少で理解が難しいのですが、売上がこんなに延びるていま
す。他の職種の売上が減少し、屋根工事特に金属を除く屋根工事の売上がものすごく増加しているのです。

2006年にも増加が見られます。屋根だけ特異な業種なのでしょうか?



16種の職別工事:
16種の専門職別工事とは、つぎのものです。

大工工事、とび土工コンクリート工事、鉄骨工事、鉄筋工事、石工工事、燻瓦タイルブロック工事、
左官工事、屋根工事、金属屋根工事、板金工事、塗装工事、ガラス工事、防水工事、内装工事、
はつり解体工事の16種になります。

住宅、非住宅の売上割合:



上のグラフは、屋根工事業の完成工事高の内訳を示したものです。屋根工事と金属屋根工事の売上が住宅の
工事売上なのか?マンション、アパート、大規模建物、などの非住宅のものなのか?の割合のグラフになり
ます。ここでもやはり2009年の売上は前年より高くて、特に下請けでの非住宅の屋根工事が大きく伸びてい
ます。つまり住宅以外の屋根工事がかなり伸びていることを表していて、しかもリーマン・ショックの影響
を受けなかった工事ということになりそうです。想像は、請負契約がリーマン・ショック以前に行われ、実
行、施工が2009年に行わた。地震では屋根の特に瓦の崩れが多く、屋根屋さんは大忙しでしたが、2009年
の前には、そのような災害も発生してません。

一方、金属屋根工事だけを打ち分けると、非住宅の割合が非常に大きく、金属;トタン、ガルバリウム鋼板
、ジンカリウム鋼板、カラー鋼鈑など金属製の屋根材を使った屋根工事が住宅ではない建物に施工された割
合が非常に大きいと言えます。コンクリート製の建物は屋根はコンクリートが多いので、マンションやオフ
ィースビルなどはこれに含まれないと思われます。非住宅の建物で、金属を使った屋根とは、体育館、工場
、駅の建物、美術館などのイベント会場など、特殊大規模建設物の工事がこの2009年に多かったと結論でき
るのではないでしょうか?


屋根工事市場;会社の営業損益:

では、屋根工事の会社はどれほどの利益があるのしょうか?屋根工事を依頼する側としては最も感心のある
事項と思います。

上図は、完成工事高営業利益率の推移を示したものです。屋根工事業では、16種の平均の利益率の変動に
比較して、その利益の変動が多少大きいといえるのではないのでしょうか? 1%未満の変動ですが、工事
の規模は数十万円から大きいものでは、1億もの商売がありますので、この差は大きいのです。しかし、図
にあるように、「屋根工事業」、f金属製屋根工事業」ともに、他の職別工事業と比較して、特に収益性が
低いとはいえないと考えます。総合工事業の下請として工事に参加することが多い状況下、完成工事高営業
利益率の推移は、「屋根工事業」及び「金属製屋根工事業」に限らず、職別工事業全体の推移に概ね即して
いるといえます。

市場;屋根工事業のマーケット;会社、市場規模、労働人口など

事業者数:
市場の様子を外観する為に、屋根工事業を営む工事業者数の変化を見ていきます。国土交通省が公表してい
る「建設工事施工統計調査」ですが、建般業許可を受け、かつ、年間の工事実績がある「屋根工事業」及び
「金属製屋根工事業」の業者数と建設業者総数の推移を示したものです。この調査結果における工事業者数
は、調査年度内に実際に工事実績のあった業者数です。建設工事施工統計調査では、「屋根工事業(金属製
屋根工事業除く)及び「金属製屋根工事業」に分けて集計が行われています(以下、本文中に屋根工事業
、金属製屋根工事業とかぎ括弧付きで表示するものは、同調査の定義に従う)。これによれば、建設業者総
数の推移と「屋根工事業」及び「金属製屋根工事業」の推移には、やや異なる傾向4がみられます。

従業員数:
次に、従業者数の推移について「屋根工事業」は、減少傾向となっていますが、2013年には増加へ転じまし
た。また、業者数と同様に、建設業者全体と「屋恨工事楽」及び「金属製屋根工事業」の推移には、やや異
なる傾向がみられる。一方、「金属製屋根工事業」の完成工事高の内訳を見てみると、非住宅建築(下請)
の占める割合が高く、「屋根工事業」とは対照的である。完成工事高に占める住宅(元請及び下請の合計)
の比率を、住宅依存率として示したものである。「屋根工事業」の住宅依存率は、2009年度以降、上昇傾向
であり、2013年度には低下したが、「金属製屋根工事」、職別工事業全体と比較しても、以前として高いこ
とがが「屋根工事業」の特徴です。





屋根工事業の定義、屋根工事とはどのような工事か:

建設業許可28業種のひとつである屋根工事業とは、瓦、スレート、金属薄板等により屋根葺く工事を行うも
のである。これについて、国土交通省では、建設業許可事務の取り扱いにつて次のように定めています。

 1:瓦、スレート及び金属薄板については、屋根をふく材料の別を示したものにすぎず、また、これら
   以外の材料による屋根ふき工事も多いことから、これらを包括して「屋根ふき工事」としている。
   よって壁にもガルバリウム鋼板など金属材料が使われていて板金という職種ですが、板金屋根工事
   も「板金工事」ではなく『屋根工事』に該当するとしています。

 2:屋根での断熱工事、遮熱工事は、断熱処理を施した材料により屋根を工事するものであって
   「屋根工事・屋根葺き替え工事」の一種としています。

 3:最近流行りの太陽光で、屋根―体型の太陽光パネル設置工事は、屋根工事に骸当します。
   太陽光発電設備の設置工事は『電気工事』に該当しますが、太陽光パネルを屋根に設置する場合は、
   屋根等の防水工事等を伴うことが多いので、屋根工事に含むとしています

屋根工事は具体的に、建物の主要構造部のひとつである屋根を、屋根材を用いて仕上げる工事ですが、屋根
上での「商所作業」と屋根材を屋根に上げる「肉体労働」を伴い、また屋根材を現場で加工などを行って納
める「職人技術」、屋根材と雨仕舞いに関する「専門知識」が必要とされる。屋根を葺く材料には、スレー
ト系(化粧スレート、天然スレート)、セメント系(厚形スレート、コンクリート)、粘土系(陶器瓦、無
軸瓦)及び金属系(ガルバリウム銅板、銅板など)などに分類され、素材や形状は多岐にわたります。

屋根工事事業;今後の課題と展望

前の記述にもあるように屋根工事業は、住宅建築を主な市場としています。この住宅の新規住宅建設の市場
環境は、2008年10月に発生した、金融ショック、謂わいるリーマンショックの影響を受けて、住宅建設に限
ったことではありませんが、新築住宅着工戸数が大きく減少しました。2013年までには、4年連続で増加し
た。「建築着工統計調査;国土交通省による資料」によると、2014年は、5年ぷりに減少に転じたが、2015
年は、消費税増税の影響が大きく、この反動減からの回復や、住宅エコポイント等の市場活性化策等、明る
い兆しが見えました。

一方、トタン材料市場、ガルバリウム鋼板市場、カラー鋼鈑、ジンカリウム鋼板、自然石粒付鋼板市場等の
「金属製屋根工事業」は、リフォーム、増改築等の非新規の住宅建築を主な市場としていますが、この非住
宅建築の市場環境については「建築着工統計調査(国土交通省)」によると、2014年では、5年ぶりの減少
となった。また、図表9は、直近10年間の完成工事高に占める維持修繕工事の割合の推移を示したものであ
るが「屋根工事業」は高い水準を維持している。

金属製屋根工事業は2009年度に大きく割合が伸びており、2012年、2013年と減少したが、屋根は、経年劣
化していくものであり、必ず維持修繕が必要となるため、維持更新投資は、建築ストックの築後経過年数の
状況に影響を受ける。維持修繕工事の需要は常にある程度存在するということがいえる。

今後、維屋根工事業においては、新築にかかるものについても明るい兆しもあるが、今後は維持修繕にかか
るものについての成長がさらに見込まれるだろう。また、近年の「省エネ」「エコ」「耐震」及び「美観・
景観」に対する意識マインドの向上に伴う需要増加に期待したい。これらの要因を活かすためにも、屋根工
事業者としての技術及び技能の向上が必要である。建設技能労働者熟練者の高齢化が進む業界において、
20歳代から30歳代の中堅・若手技術者の確保と、高度な技能の承継を図り業界全体が活性化されることを
期待したい。

住宅用屋根材市場の動向、屋根工事市場の動向:

住宅用屋根材市場で金属屋根材の存在感が高まってきている。リフォーム向けの販売が好調であるほか、新
築でも採用実績を伸ばしている。さらに、鋼板素材自体が飛躍的に進化していることも金属屋根材に対する
大きな追い風となりそうだ。屋根材メーカー各社は、。スーパー鋼板‘とも呼べる進化する鋼板を用いて高
耐久、高意匠化を図った新商品提案を活発化させている。これまで採用が多かったリフォーム市場に加えて
、今後は新築市場でもさらに採用が増えていきそうだ。

高まるリフォーム需要をキャッチ:

住宅屋根材市場で金属屋根材の採用が広がってきている。カバー工法に対応していることから、従来からリ
フォームでの採用が多い金属屋根材だが、近年のリフォーム需要の高まりをうまく捉え、販売実紋を伸ばす
屋根材メーカーが増えてきている。ニチハの金属外装営業部の宮崎智一氏は「当社が展開する金属屋根材は
、リフォームでの採用が圧倒的に多いが、金属屋根材の販売実績は前年比で20~30%増で伸びている」と
話す。また、アイジーエ業もスレート屋根材からのリフォームをメインターゲットに定め、金属屋根村を展
開しているが、同社の鈴木恒男執行役員営業部長によると「関東、中部、近畿地方などのエリアを中心に販
売好調で、金属屋根材全体の販売実績は前年比約2割増で推移している」という。屋根の軽量化のニーズに
も対応新築での採用も増加。さらに金属屋根材は新築市場でも存在感を発揮し始めている。住宅金融支援機
構では、フラット35に適合した住宅について主要部位がどのような仕様であるかを調べたフラット35住宅仕
様実態調査を公表している。

現状では非住宅・住宅分野を含め、国内の金属屋根・外壁用素材として、約9割という圧倒的なシェアを占
めているのは、ガルバリウム鋼板だ。これはさびやすいという鋼板の弱点の克服を目指し表面処理めっきを
工夫することで耐食性の向上を図ったもの。日鉄住金鋼板(当時は大同鋼板)が1982年に開発に成功し国内
で初めて生産を開始した。具体的にはアルミニウム55%、亜鉛43・4%などで組成されるめっき処理を施す
ことで、従来の亜鉛めっき鋼板の3~6倍の耐食性、良好な加工性を付与した。また、日鉄住金鋼板以外の
鋼板メーカーも、それぞれガルバリウム鋼板と同等の性能を発揮する鋼板素材の開発に成功、各社が独自の
名称で商品化し普及を図っている。ガルバリウム鋼板という名称は、日鉄住金鋼板の商標登録だが、発売開
始から30年以上を経て、高耐久な金属素材の代名詞として消費者の間でも認知度が高まってきている。それ
が金属屋根・壁用素材の市場全体の約9割という圧倒的なシェアにつながっているわけだ。

ガルバリウム鋼板を超える性能を実現:

さらにここにきて鋼板メーカー各社は、鋼板を保護するめっきや塗膜などの技術を独白に進化させ、ガルバ
リウム鋼板を超える耐久性や加工性などを付与した。スーパー鋼板とも呼べる新商品を開発し販売を強化し
ている。日鉄住金鋼板は、2015年7月から、ガルバリウム鋼板の3倍超の耐食性を持つ次世代ガルバリウム
鋼板「エスジーエ日鉄住金鋼板が開発した次世代ガルバリウム鋼板「エスジーエル」のめっき構造。添加した
マグネシウムが亜鉛と共存し、より緻密な亜鉛酸化皮膜をつくることで、腐食を抑制する。

優れた耐食性に定評のあるガルバリウム鋼板だが、海岸の近くや厳しい腐食条件下では、十分な耐食性を発
揮できないという弱点も指摘されていた。加えて、さらなる長期使用が可能な素材、長期にわたり美観の維
持に貢献する素材へのニーズも高まってきていた。こうした声に対応して開発したのがエスジーエルだ。

ガルバリウム鋼板のめっき構造をベースに、2%のマグネシウムを添加することで、めっきの耐食性を最大
限に引き出すことに成功したもの。添加したマグネシウムが亜鉛と共存し、より緻密な亜鉛酸化皮膜をつく
ることで、腐食を抑制する。とくに腐食が起こりやすい切断端部や傷部などの腐食効果が大きく、厳しい腐
食環境下でもガルバリウム鋼板を超える耐食性を発揮する。同社が行った各種試験では、ガルバリウム鋼板
に比べて3倍超の耐食性、また、塩害に対しても、ガルバリウム鋼板を凌ぐ性能を発揮することも確認でき
た。

また、ガルバリウム鋼板を踏襲したメッキ構造を採用することで、ガルバリウム鋼板と同等の加工性も有し
ている。結果として、ガルバリウム鋼板の加工に用いていた成型機を代えることなく、そのまま使用できる
。塗装鋼板の基材としても優れている。表面塗膜との相乗効果で塗装鋼板全体の耐久性向上に寄与するだけ
でなく、塗装の美しさを一層引き立てる効果も期待できる。

同社では無塗装のエスジーエルに加え、これを基材として汎用カラーを塗布した「ニスクカラーSGL」、
汎用ふっ素樹脂塗装を施した「ニスクフロンSGL」などの商品ラインナップをそろえている。ガルバリウ
ム鋼板では、鋼板メーカーの統一保証として赤さびによる穴あき10年保証が付与されているが、ニスクカラ
ーSGLについては、海岸500M以遠などの条件下で、原板の穴あき25年保証を付与。ニスクフロンSG
Lについても同じ条件のもとで穴あき25年、塗膜20年という長期保証を実現した。同社では「ガルバリウム
鋼板が市場に広く普及し始めるまでには、発売開始から10年以上かかった。エスジーエルについても市場の
ニーズを見ながら、主力商品としてガルバリウム鋼板からの切り替えも含めて普及に取り組みたい」として
いる。

屋根材各社:環境性能と耐食性の向上を両立:

JFE鋼板:Jクラフト
JFE鋼板は、地球環境や人体に負荷を与える六価クロム(クロメート)を含有しない、国内初となる高耐
食性クロメートフリーカラー鋼板「Jクラフト」を塗料メーカー等と共同開発し、2016年7月から販売を開
始した。これまでカラー鋼板の多くには、高温多湿な環境や塩害環境に対応した高耐食性を実現するために
、六価クロムを含有する塗料が使用されてきた。

六価クロムを鋼板の塗膜として採用することで、自己補修作用を発揮し、さびの発生を抑制JFE鋼板はクロ
メートフリーの塗膜とそれにマッチするガルバリウム鋼板の一体的な開発を進め、」クラフトを製品化した。
環境性能の向上を図るとともに、従来のクロメートカう一鋼板と同等以上の耐食性を実現。とくに曲げ加工部
での耐食性の強化を図ったする。安価な価格であることも広く使用されている要因の一つだが、六価クロム
は、地球環境に負荷を与える懸念があり、より高い安全・安心を求めるユーザーから敬遠される傾向がある
ことも事実だ。現状では、建材用途のカラー鋼板に六価クロムを使用してはいけないという規制はないが、
同社では環境負荷削減という社会的なニーズの高まりを先取りし、クロメートフリー化の技術開発を進めて
きた。

長年にわたりカラー鋼板の製造で培ってきたノウハウを生かし、クロメートフリーの塗膜とそれにマッチす
るガルバリウム鋼板の一体的な開発を進め、製品化したのがJクラフトだ。クロメートフリーとすることで
環境性能の向上を図るとともに、従来のクロメートカラー鋼板と同等以上の耐食性を実現。とくに曲げ加工
部での耐食性の強化を図った。Jクラフトには、塗膜15年という長期保証を付与した「極みIMAX」
(つやけし)のほか、10年穴あき・赤さび保証を付与した「和みIFIT」つやあり・つやけし・半つや
の2商品を揃えた。また、耐食性能の向上を図ることで、同社で初めて海岸から500m以遠を保証対象エ
リアとした。

同社では「金属の良さを多くの人に知ってもらい、限られたパイの奪い合いではなく、市場そのものを拡大
していきたい」としている。こうした進化するスーパー鋼板などを用いて、屋根材メーカー各社は、高耐久
化を図った金属屋根材を相次いで発売している。ガルバを超える高耐久性を売りにニチハでは、断熱材一成
型金属屋根「横暖ルーフ」のラインナップを2016年8月より一新し、販売を強化している。

次世代型の鋼板素材を採用することで、さらなる高耐久化を図っていることが大きな特徴だ。同社では、高
耐久化を図った横暖ルーフをリフォーム市場だけでなく、とくに積雪の多い寒冷地の新築市場にも普及させ
ていきたい考え。寒冷地では「積雪に耐えられる」「雨漏りが発生しにくい」といった理由で金属屋根材の
シェアが高いが、ここには金属屋根材メーカーが販売する定尺の金属屋根ではなく、地場販売店が鋼板をコ
イルの状態でスケッチ加工できる金属屋根が主流である。とくに職人不足と職人の高齢化対策として作業工
程削減に寄与する点が支持されている。同社では、こうした寒冷地の新築市場に対しても、高機能で部材の
豊富な定尺の横暖ルーフを訴求していく方針だ。

アイジー工業:スーパーガルテクト
アイジー工業も高耐久化を図った金属屋根材「スーパーガルテクトフツ素」「スーパーガルテクト」を開発
し、2016年3月から販売を開始した。表面鋼板に日鉄住金鋼板のエスジーエルを採用することで、従来品の
意匠性、断熱性、軽量性を維持しつつ、さらなる長寿命化を実現した。

元旦ビューティ工業:断熱ビューティルーフ
元旦ビューティ工業も、付加価値を高めた横算金属屋根材として「断熱ビューティルーフ」の販売を強化し
ている。断熱ボードを鋼板裏面に一体化することで、優れた断熱性能を発揮。また、非住宅分野で培ってき
た金属屋根のノウハウを活かした独自のジョイント形状などを採用することで、高い防水性能、耐風圧性能
も付与した。様々な素材から屋根材を選択できることも断熱ビューティルーフならではの特長だ。

ガルバリウム鋼板やアルミ、ステンレス、銅板など様々な素材を用意。日鉄住金鋼板のエスジーエルにも対
応している。同社の営業本部住宅事業開発グループの山崎博之グループ長は「金属屋根材の素材としてガル
バリウム鋼板の人気が高いが、各社が様々な製品を発売しており価格のたたき合いになってきている面もあ
る。

断熱材の有無などの違いが考慮されず、どちらが安いのかだけが問われることが多いことを懸念している。
そういう意味で、ガルバリウム鋼板を超える耐久性を実現したエスジーエルは、差別化商品として訴求しや
すい」と話す。ちなみに同社では差別化商品としてアルミ素材の金属屋根の提案にも力を入れている。
「住宅分野でアルミの金属屋根を扱えるメーカーは限られている。当社では非住宅分野で培ってきた豊富な
ノウハウを活かして、住宅分野にもアルミの金属屋根を展開している。導入コストは、ガルバリウム鋼板な
どに比べて高くなるが、非常に軽く、塩害エリアでもさびないといった特性を備えている。メンテナンスの
手間もほとんどかからないため、ライフサイクルコストを考慮すれば最もお薦めできる」という。


ケミュー株式会社:スマートメタル
 ケイミューは金属屋根材「スマートメタル」を開発し、販売を開始した。スレート屋根材市場で9割以上
のシェアを占める同社だが、新築市場が縮小していく中で、リフォーム市場の開拓に向け金属屋根の本格販
売に乗り出した形だ。素材には日鉄住金鋼板のエスジーエルを採用。厳しい条件下でもさびの発生を抑制す
る。「カラーベストで培ってきた屋根のノウハウを活かして金属屋根の形状を工夫し、カラーベストと同等
の防水性能、耐風圧性能を付与した」また、独自の左右対称の形状を採用することで左右どちらからでも重
ねられる機能を持たせた。屋根材の切断廃材の削減にもつながり、コスト削減効果も期待できるという。

一般的に金属屋根は、板金事業者が施工することが多いが、同社では屋根材ルートや木建ルートなどを通じ
て従来から同社のカラーベストを扱ってきた屋根事業者などを対象に使用を促していきたい考えだ。耐久性
の向上に伴い保証期間、対象地域も大幅に拡大 スーパー鋼板を利用し金属屋根材の高耐久化を図ったこと
で、従来品よりも保証期間や保証の対象範囲を拡大することも可能になった。こうした充実の保証制度も、
住宅の長寿命化を推進する住宅事業者などから高い支持を得ている。


ニチハ株式会社:横暖ルーフ
ニチハの「横暖ルーフaプレミアムS(厚さ17mm)」と、「横暖ルーフプレミアムS(厚さ16mm)」に
は高性能なフツ素熱鋼板を採用することで、赤さび20年、穴あき25年の長期保証を付与。また、フツ素
塗装が塗膜の劣化を抑制するため、変色・槌色20年、塗膜20年保証も実現した。また、クロメートフリ
ーの遮熱鋼板を採用した「横暖ルーフアルファS(厚さ17mm)」と「横暖ルーフS(厚さ16mm)」も発
売。赤さび20年、穴あき25年の長期保証はもちろん、塗膜15年保証を付与した。さらに、高耐久化を図
ったことで、横暖ルーフの全商品について、沿岸部での保証対象地域を従来の「海岸50m以遠」から
「海岸500m以遠」に拡大した。また9月より全地域で施工可能となり、従来よりも幅広い地域が保証対象
となった。同社金属外装営業部の宮崎智一氏は「横暖ルーフを採用される顧客の多くが『どのくらいの
期間でメンテナンスが必要になるのか』「メンテナンスコストはいくらかかるのか」ということを気に
される。

保証期間や保証対象地域
保証期間や保証対象地域が拡大したことは大きなアピールポイントになる」と話す。アイジーエ業では、
スパーガルテクトシリーズの全商品に対して穴あきの発生に対して25年間の長期の製品保証を付与した。
海岸線部における保証対象エリアも大幅に拡大した。さらに、表面に遮熱性フッ素樹脂塗装を採用したスー
パーガルテクト フッ素には、穴あき25年に加えて、塗膜変補色20年と赤さび20年の製品保証を付与。

また、スーパーガルテクトでは、穴あき25年に加えて、塗膜15年、赤さび15年の製品保証を実現した高級
グレードの住宅にマッチする意匠性を訴求進化するスーパー鋼板の加工性を活かして金属屋根の高意匠化を
図り、他社との差別化を進める金属屋根材メーカーもある。セキノ興産は、JFE鋼板の高耐食性クロメー
トフリーカラー鋼板「Jクラフト」を表面鋼板に採用した横葺き金属屋根「柾目FLex」の提案を強化し
ている。この商品は日本の伝統建築で用いられてきた木屋根の意匠性を金属で再現したもの。独自の製造技
術によってこれまでの横葺き屋根材にはなかった意匠性を実現している。この柾目FLexの美しい意匠性
を実現するのに必要不可欠であったのがJFE鋼板のJクラフトだ。柾目のような美しい意匠性を実現する
ために、通常以上の加工によるストレスが加わるため、一般的なガルバリウム鋼板などでは、めっき膜にク
ラックが入る懸念があった。

そこで、同社では、表面鋼板の素材として、従来のクロメートカラー鋼板と同等以上の耐食性を実現し、と
くに曲げ加工部での耐食性の強化を図ったJクラフトに着目。さらに、Jクラフトのクロメートフリーの塗
膜に加えて、ガルフレックス仕様というガルバリウム鋼板のめっき被膜を柔軟化させた特別仕様の鋼板を使
用することで、加工によるストレスに耐えられるようにした。塗膜15年保証も実現した。施工性に優れてい
るのも柾目FLexの特長だ。画期的なジョイント構造を採用することで、高いレベルで雨水の浸入を防止
することができ、万が一、水が浸入してきてもいち早く外部へ排出する工夫を施した。こうしたジョイント
部の加工を施す際にも、通常以上のストレスが加わるが、これもガルフレックス仕様のJクラフトを採用し
たことで克服できたという。

屋根材メーカー各社のこうした高い付加価値を付けた金属屋根は、長持ちする家づくりを推進し、住宅外観
の意匠性向上にも注力する住宅宅事業者からの評価を高めていることは事実。これまでリフォームでの採用
が大半を占めいてきた金属屋根だが、リフォーム市場に加えて、新築市場でも採用されるケースが増えてき
ている。高耐久、高性能の屋根材として着実にシェアを高めていきそうだ。